冒頭の写真は、何に見えるでしょうか?
「はばたく鳥」みたいですよね。
次の写真はどうでしょう?
2つの岩…… なんだか、顔が向き合っているみたい。
撮影したときも、あとから見ても、まるで、にらめっこしているように見えてしまう。
では、次はどうでしょう?
なんとなく、左を向いたネコの顔がいたりして…
これらの写真は、かつてブラジル南部のパラナ州、ヴィラ・ヴェーリャで写したカット。
ラクダだとか、長靴だとか、奇岩が形づくる景色が見ものの州立公園です。
岩屋から見上げたはばたく鳥の姿もその一つ。言われてみれば… という形もあるけれど、
逆に、なにげない岩が、生き物に見えたり、顔が見て取れてしまったりする。そんなことってありますよね。
ギアナ高地ロライマ山頂では、岩の形が、まるでゴジラのような怪獣の姿に見えました。
ピアウイ州にあるセッチ・シダーヂス国立公園では、ブラジルの国の地図をかたどったスポットもありました。
誰かが彫ったのでは、と思えるような岩にも遭遇。
まるで、ちょっと勇ましい感じの王の横顔…
雲とか岩とかの形が人の顔や動物に見えてしまうことは、パレイドリア現象として知られています。
類似のものと結びつけたり、意味を付けして捉えたりしてしまうということらしい。
火星の岩山が人の顔のように見えるという有名な写真も、この現象による錯覚と説明されています。
また、逆三角形の3つの点があると、つい人の顔に見えてしまう。
これはシミュラクラ現象と呼ばれ、人間の防衛本能からといわれています。
なんだ、ただの錯覚じゃないか、バカバカしい。なんて思わずに、まずは楽しんでみるのもいいかもしれません。そもそも、古今東西、人間は、岩や雲だけでなく、あらゆる自然の中に、ランダムな形や模様以上のものを見たり感じたりしてきました。
ときには神話や伝説の基盤となり、物語は何千年も受け継がれてきたのです。星空に輝くオリオン、さそり、カシオペア… そして、それは同時に、航海や天文学の重要なツールにもなり、科学的研究へと発展しました。
岩に顔があるって!? あなどることなかれ。意外にその錯覚が、創造の源泉になることもありえます。
物語を創造するインスピレーションになったり、好奇心をそそられて何か探求するきっかけになったりなんかして… まずは夜空を見上げてみましょうか〜