“人間って、ステキ” 〜 モザンビークの歌声に踊り

これまで訪れたところでは、どこでも魅力的な人たちに出会った。なかでも、何気なく“人間って、ステキ”と感じさせれることが重なったのは、アフリカのモザンビーク。どうステキだったのかというと、たとえば、こんな具合…

中部地方を車で移動していたとき、草原や野山の間に、ときおりサトウキビやトウモロコシが青空を指すように並んでいた。その畑の沿道に、時折、ぽつりぽつりと人の姿。そして鮮やかなオレンジ色。採れたてを売っているのだった。喉の渇きにちょうどいい、次に姿が見えたところで車を寄せてもらう。

道端に並んだザルと盛られたオレンジ。そして、近くの農家なのか、お父さんお母さんと子どもたちが勢揃い。2かごを買う。すると、お父さんは代金を受け取るやいなや、体を震わせて、小刻みにステップを踏んで跳ねた。

売れたぞー、なのか、ありがとー、なのか。文字通り“小躍り”なんだけど、喜びが体からあふれ出ている。こっちもなんだか嬉しくなっちゃう。からだ全体で表現するって、それもステキ。  

写真ワークショップを行うために中部の農村を訪ねると、子どもたちが集っていた。そして、向き合うと歌い出した。いろいろな声が層になって、リズムを奏で、あたりを包んだ。そのアカペラのハーモニーの美しいこと。身も心も酔いしれるような歌声の響きあい。それは歓迎の歌だった。

地方都市から首都マプトへ戻るとき、なぜか突然、飛行機が欠航した。スケジュールの都合上、別の都市へ移動するため、やむを得ず地元の乗り合いバスに乗ることに。

すると、人だけじゃなく鶏から野菜や家財道具までがぎゅうぎゅう詰め。わたしの荷物の一つが隣に座った青年の顔を塞いでしまい身動きもできない。

なのに、その青年はわたしの泥で汚れたもう一つの大荷物を自分の膝の上に置いた。おかげで彼は何時間も荷物に押しつぶされそうになったまま。それもなんの見返りもないただの親切で。

中部ザンベジアの道端のキオスク。カメラを向けて、撮影OK?とやりとり。すると、まわりに、なんだなんだと加わってきたりして、ちょっかいを出しあったりする。なんだか楽しそうで、こっちも楽しい。みんなの笑顔もステキ…

訪れた当時2004年は、まだ、紛争時代の地雷や武器の撤去も行われていた。


それから10年の2014年、再びモザンビークを訪れた。農村部では、一見すると10年の間に、そう大きな変化は感じられず… 幼子を背負って素足でピーナツを収穫する少年少女たち… けれども、都市部ではビルも増え、世界からの人々が行き来していた。アフリカ諸国にヨーロッパ、中国やインド、日本… アフリカの潜在力に期待が高まるかのように。

北部の都市ナンプラで、街頭の通りすがりに、向こうから真っ赤なシャツに巻きスカートの女性二人が歩いてきた。民俗調巻きと顔にはペインティング。なんだかカッコいい。思わず、カメラを手に、一枚撮影を、と声をかけた。すると、OK! 

お揃いの格好に、今日は何かあるの? と聞いてみる。すると、国際女性デーの集いに行くのだという。その日は3月8日。「国際女性デー」で、世界の多くの国で行事が行われているらしい。堂々として、どこか颯爽としていて、明るさも漂う彼女たち。内面が外面に現れているのだろう…

首都マプトで訪れた中学校。カメラを向けると、歓声が上がった。すかさず女子が即興で踊る。まわりも囃し立てて、それがリズムになる。体が喜んでいるような踊りっぷり。思わず、ステキ! とシャッターを押した。

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