絵のようでもあり、文字のようでもあり… これは一体なにを表しているのだろう。じっと見ていると、照りつける日光を受けて凹凸が入れかわる錯覚にくらくらした…
ブラジル北東部パライバ州、インガーの岩絵Pedra do Ingá。見方によっては、人の形も見えるし、動物とも見えなくもない。くだものがあるようにも見える。はたまた、文字か記号か。何やら古文書の碑文と言われても、うなずいてしまう。実際、古代フェニキアとか、エジプトだとかに関連づけた説もあるらしい。岩絵の部分によっては、星座が表されているという説も。けれども、いまのところ、いつ、だれが、なぜ作ったか、具体的なことは何もわかっていない。なぞのまま、国定記念物になっている。
世界遺産に登録されているセーラ・ダ・カピバラ国立公園の岩絵を始め、ブラジルには考古学的な遺跡があちこちにある。初めてブラジルに行った1998年(かなりの昔!)、知り合った地元の人に連れられて、ミナス・ジェライス州でも岩絵を見に行った。といっても、右も左もわからず、どこにいくかもよくわからぬままに。案内人は山刀を手に、雑草や灌木を払いながら、道なき道を進んだ。辿りついた場所には、岩の壁面がはり出して、そこに絵が描かれていた。人物らしき姿。それが白く力強く、きわ立っていた。
さらに、洞窟へと足を運んだ。どうやって、どこにたどり着いたのかも覚えていない。けれど、ネットで調べてみると、それはラパ・ド・バレー Lapa do Balletというところだったようだ。いまではあたりが整備されて、見学できるようになっているらしい。ネット上では、性別が異なる人物がつづくもの(踊っている?)、出産シーンなどの説明が散見された。
時空を超えて古代につながる、地球上のとある地点。ロマンをかきたてられる一方で、すっかり忘れていた古い写真をみると、まずそのときの暑さやのどの乾きが蘇ってきたのだった。