2025年、NPO法人の熱帯森林保護団体(RFJ)に同行して、30年ぶりに、ブラジルのマットグロッソ州、シングー川流域を再訪した。数回に分けてレポートします(撮影協力:RFJ)。
*本記事は日本ブラジル中央協会のブラジル特報2026年1月号、熱帯森林保護団体ニュースレターに寄稿した内容をベースに当web用に再構成しています。

上空から見ると、シングー先住民族公園の域内は見渡す限りの緑の大地。ジャングルが広がっていた。アマゾン熱帯林の上にいるという高揚感が湧き立ってくる。
ところが、公園周辺にくると、パッチワークのように大地が切り刻まれ、これほどまでかと、広大な森が消えていた。生き物たちが息づいていた、すべて森だった地。それが、農閑期の乾いた褐色の地に。


どこまでもつづく広大な農地。あたりは、大豆、トウモロコシ、綿花の世界的な産地へと変わっていた。
なんだか巨大なシステムの力を見せつけられたような気分になった。けれども、発展を望む人もいる。
そして、世界からの輸入に頼って恩恵を受ける日本の私たちもいる。森の消失は、自分の日常にもつながっている‥‥




最寄りの町から、先住民の村への一本道。乾季は土埃にまみれ、途中、蛇が横切る。
野生イノシシの仲間たちも。次から次へと20匹ほどがつづいた。
滅多に行き合う車はなかったものの、ときどき高さのある大きな荷台をつけたトラックとすれ違う。そこに牛がすし詰めに乗っている。
道すがら、前年に山火事で焦げたような場所もあった。


先住民の村との経由でサン・ジョゼ・ド・シングー(São José do Xingu)に滞在した。
かつての町名がバンギ・バンギ(Bang-bang)農場だった、という冗談っぽい歴史がある小さな町だ。
バンギ・バンギとは、西部劇のように銃をバンバン撃ち合うこと。1970年代の開拓初期、荒くれ者の抗争がつづき、銃音が飛び交う農場が町名の由来だった。
小さな町だが、開発も進む。宿の前は、一面、むき出しの開拓地。
地平から日の出を眺められるほど、何もない。大地に重機が行き交い、轟音を立てていた。
宿の人は、この町は数年で見違えるようになる、と言った。
国内線ではSinopを経由。アグリビジネスで急成長した街だ。それも、さらなる開発に人や資本を引き寄せているらしい。
タクシー運転手は、これからもっともっと発展するだろうと言う。それも豊な南部の資本家や技術者と、北東部などからの労働者が増えているという。ブラジル社会の縮図をのぞいたような感じがした。
南米には「空飛ぶ川」があるという。アマゾン川流域と熱帯雨林がもたらす巨大な水蒸気の流れのこと。
この自然が失われると砂漠化が進み、地球全体に影響が及ぶという科学者もいる。
アマゾンの森の消失は、まわりまわって恩恵を受けている日本のわたしたちとも、無縁ではない。
何ができるか、何をどう変えるか、自分がどう変わるか……

