撮影余話この一枚 〜 武器のアート

 幾何学模様のように組み合わされているピストル? それは廃棄された銃が椅子の背もたれになっているオブジェだった。2004年、訪れたモザンビークで武器回収プロジェクト(TAE)を取材したときのこと。集められ、破壊された武器のガラクタ。それが、アーティストたちによって再生された作品だった。

 モザンビークは1975年にポルトガルから独立。独立のために戦ったFRELMO(解放戦線)が社会主義路線の政権を樹立したが、隣国の南アや資本主義国家から支援を受けた反政府組織RENAMO(民族抵抗運動)と内戦になった。その犠牲者は100万人、難民は170万人ともいわれる。子どもたちも少年兵としてかりたてられ、武器を手に殺し合いに巻き込まれた。

 撮影当時は和平協定が結ばれてから12年。地雷や武器の回収はまだ続いていたが、平和構築と復興が良好に進んでいる国として、将来を期待されていた。「モザンビークはもう二度と戦争をしない」現地で出会った40代の男性。人々が望んで殺し合ったのではない、使われたんだ。もともと民族が混ざり合って、対立も生まれにくいはず、と。一つの県に数種の言語があり、共通語がポルトガル語だ。都市部ではインド、アラブ、中国からの人々も行き交う。訪ねた先々で、多様で豊かな文化と、温和な笑顔に出会った。

武器アートを作るアーティストたち(2004年)
武器を回収するプロジェクト(2004年)
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