『世界のともだち3ブラジル』取材余話〜その3:ブラジルって、いいな 〜 日々の暮らしから

ブラジルの「いいね」はいろいろある。
けれど、リオの小学生と家族に寄りそってみて、
やっぱりいいなあと思うのは、明るさ。


何がどうしてだか、明るいイメージがついてまわる。
陽気な人たちに輝く太陽。けれど、
みんながみんな明るいわけではないし、誰だって落ち込むこともある。


それに、社会には治安などの問題はあるし、政治経済の混乱もしょっちゅう。
それでも、明日は明日の風が吹く、楽しく生きよう、というような空気がある。
絵本の主人公のミゲルも、面白いこと、楽しいことを見つけ出したり、そういう工夫したりしていた。

そして、その明るさにも呼応するかのように、開放的なこと。
何かと柔軟にうけ入れて、よそものに対してもフレンドリー。
もちろん、個人差に地域差もあるけれど。
開放的と同時に、個人を大切にすること。
人がどう思うかとか世間の目だとかよりも、
自分の好みや考え、個性をはっきり表に出して、主張する。オープンにする。

あくまで一般的な印象でのことだけれど、小学校のクラスで質問を投げかけると、われ先にと意見をいう。
露天でTシャツを売っていた15歳の少年は、まだ選挙権はないけれど、いまの政治について、自分が思っていることを話した。

それから、スキンシップやボディランゲージが多いことも、ある意味で「いいネ」にあげていいのかもしれない。ちょっとした合図のジェスチャーに、挨拶のキスやハグ。それが、心を開くことにも役立っているようにも感じる。う。

多様な風土に世界からの移民を受け入れ、混じり合ってきた社会。その土壌や環境もあるのかもしれないけれど、言葉以外で行うコミュニケーションの豊かさを教えられるかのよう。オープンでフレンドリーということに加えて、この言葉を使わないコミュニケーションなどは、A Iが言葉の一旦を肩代わりするようになると、ますます大切になってくるだろう。

知らない人でも、エレベーターに乗り合わせたら、アイコンタクトから会話が始まることの多いブラジル。見知らぬ人とは目を合わないようにするのが暗黙の了解のような日本とは勝手がちがう。多様な人たちが共に暮らす社会での作法なのかもしれない。

ある3月、雨の日つづきだったリオに滞在していたときのこと。

エレベーターに乗ると人と目が合った。
朝の挨拶を交わすと、思わず「雨ばっかり」とこぼしてしまった。

すると、その人はちょっと微笑んで言った。
「だって、3月は雨の季節」。そして、歌を口ずさんだ。

アントニオ・カルロス・ジョビンのボサノバ曲「3月の水」。
……夏が終わる3月の雨……

どこか心軽やかになるような調べに、跳ねるフレーズ。
雨音が愉しくなるようなリズム。
そして、そのうち雨が上がる、
そんなかすかなときめきが湧いたのだった。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメント一覧 (1件)

目次