『アマゾンの呪術師』とパブロ・アマリンゴについて

*2022年 電子書籍として、再出版されました

『アマゾンの呪術師』

語り/パブロ・アマリンゴ 

訳・構成/永武ひかる 

1998 地湧社

ペルーアマゾンの元シャーマン、パブロ・アマリンゴが語る、
神秘に満ちた植物と精霊の世界、その体験とメッセージ。
脳と心のふしぎ、愛とはなにか? 人生とは? 宇宙とは? 

幼い頃に知った呪術の世界、貧しさゆえに刑務所暮らしを余儀なくされた青年時代。
そして、シャーマンに。その特異な経歴から、人間の運命と人生の可能性を示す。
厳しい社会の現実と豊かな自然風土に育まれ、聖と俗を知り抜いた元シャーマンの、
その洞察に満ちたメッセージが、アマゾンの密林の濃厚な息づかいとともに語られる。

パブロ・アマリンゴ Pablo Amaringo 〜 ペルーアマゾンの元シャーマンの画家

ありし日のパブロ・アマリンゴ@ペルーのアトリエ
パブロ・アマリンゴの作品

 1938年ペルーアマゾン生まれ。農夫、漁師などさまざまな職業を遍歴後、1970年代に伝統的なシャーマン(治療師)として活躍し、多くの病気を治す。治療師をやめた後、アマゾンの自然やシャーマンおよび精霊世界を描く画家となる。シャーマンが使う薬草茶アヤワスカとそのビジョンを描いた作品は、文化人類学者などを始め関心を呼び、世界中で展示会が開かれている。

 自らの作品を創作しながら、地域の子どもたちに無償で絵を教え、次世代の教育にも力を注いだ。1988年、文化人類学者のエドワルド・ルナとともに、美術による教育を行う「ウスコアヤール絵画学校」を設立。その活動を通じて、1992年世界環境デーに国連グローバル500賞を受賞。美術活動を通して自然との共生を呼びかけた。2009年没。

Ayahuasca Visions: The Religious Iconography of a Peruvian Shaman

1993 North Atlantic Books

Pablo Amaringo / Luis Eduardo Luna

パブロ・アマリンゴと文化人類学者ルイス・エドワルド・ルナの共著。

ルナによる解説とともに、アマリンゴの多数の作品が掲載されている

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日本での主な紹介(1990〜2000):

1994年@アマゾン民族館(現在は閉館)

1994年、文化人類学者ルイス・エドゥアルド・ルナとともに来日、個展開催、アマゾン民族館(閉館)および上智大学イベロアメリカ研究所等で講演会開催。

同年、NHKテレビ科学番組「脳と心」で神秘的な作品が紹介された(同タイトルの出版物も)。

以降、国内でも展示会多数開催。

1998年、シャーマンとしての体験や自然界からのメッセージを込めた『アマゾンの呪術師』が刊行される(地湧社)。

1999年、NHK教育テレビのETV特集ドキュメンタリー「アマゾン、森の精霊にきく〜元シャーマンの画家が描く神秘の世界」が放映。

1999年9月9日〜2000年1月11日、国立民族学博物館(大阪)特別展「越境する民族文化– いきかう人びと、まじわる文化」展で作品が展示された(極北、熱帯、砂漠などに住む人びとのエスニック・アート、アマゾのコーナーにて)。開催中に来日、同博物館や東京経済大学等で講演会等開催。展示作品は1999年12月NHK教育テレビ日曜美術館でも紹介された。

国立民族学博物館研究報告別冊no.22

なお、1999年、パブロ・アマリンゴが来日し作品が国立民族学博物館で展示された折の報告書として、同氏と作品について詳細を記した(下記サイトからダウンロード可)。

国立民族学博物館研究報告別冊no.22
「セッション 3 : アマゾン : 元呪術師(シャーマン)の画家パブロ・アマリンゴの作品と展示活動についての報告」
https://minpaku.repo.nii.ac.jp/index.php?active_action=repository_view_main_item_detail&page_id=13&block_id=21&item_id=3503&item_no=1&_layoutmode=on&_layoutmode=off

セッション 3 : アマゾン : 元呪術師(シャーマン )の画家パブロ・アマリンゴの作品と展示活動につ いての報告
著者:永武ひかる
雑誌名:国立民族学博物館研究報告別冊  巻022 (ページ125-146)
発行年:2001-08-31

パブロ・アマリンゴの思い出から〜

90年代はじめ、アマゾンの呪術師世界を撮影取材しているときに、パブロ・アマリンゴと出会った。まず、その不思議な世界が平面に表わされていることに驚いた。同時に、地域の子どもたちに無償で絵画教室を開いていること、その子どもたちが夢中に絵を描く姿にも心動かされた。92年リオの地球サミット・グローバルフォーラムに行き、その足でペルーに行く。パブロ・アマリンゴに再会すると、彼もグローバルフォーラムに参加し、国連グローバル500賞を受賞していたことを知る。絵画教室の応援を頼まれたことをきっかけに、日本でも非営利活動を立ち上げた(ペルーアマゾンの自然と文化を支援する会/1992〜1998)。

作品を制作中のパブロ・アマリンゴ
生徒たちを前に教育者としての顔も@絵画教室

 絵画教室では、子どもたちが絵を描きながら、熱帯雨林の自然や民話などの文化を、薬草などの知恵を学んでいた。教室では教え子たちが子どもたちに教えていた(90年代半ば)

 1994年、多くの人たちの応援やサポートをもって、パブロ・アマリンゴと文化人類学者ルイス・エドゥアルド・ルナの来日と、絵画展や講演会をコーディネート。以降、国内で絵画展を多数開催。

1999年、再び来日。多くの方々のサポートともに講演会等を開いた。

電子書籍の復刊を機に、このサイトやブログ等で、パブロ・アマリンゴが語ったことや、ありし日のことなどを追記していきます。

1999年 展示会場@国立民族学博物館
1999年 講演会@東京経済大学

*追記:
 blogにて追記しました。
『アマゾンの呪術師』電子書籍での復刊によせて
 〜その1:パブロ・アマリンゴとの出会い
 〜その2:パブロ・アマリンゴが語る呪術世界から
 〜その3:パブロ・アマリンゴの語りから
 〜その4:パブロ・アマリンゴの人生から
 〜その5:元シャーマンの画家パブロ・アマリンゴ、教育者としての顔